東野圭吾 「マスカレード・ナイト」読了

読書

どうもタジモブログです。

今回は、東野圭吾さんの、マスカレードナイトを読んだというお話です。東野さんは、電子書籍化があまり好きではないため、本書籍は、本を買って読みました。普段はkindle版を読んでいるのですが、紙をめくって読むのもいいですね。

1.マスカレードシリーズ

マスカレードシリーズは、一流ホテルである「ホテル・コルテシア東京」を舞台の中心に、捜査一課の若手刑事・新田浩介と、女性フロントクラーク・山岸尚美の活躍を描いたシリーズです。

刑事である新田が、事件を解決するため、ホテルの従業員に成りすまします。そのときに得られる情報から、事件解決の手掛かりを見つけ、ホテル内で発生しそうな犯罪を事前に解決するというストーリーとなります。

2.マスカレード・ナイト

舞台は、あの高級ホテル「コルテシア東京」。おもてなしの極致を追求するコンシェルジュと、容赦なく事件を追うベテラン刑事が、仮面舞踏会というラグジュアリーかつカオスなイベントに挑む!もうこの時点で「推理小説」なのか「異文化交流コメディ」なのか、ジャンル迷子です(笑)。

今回のバディはシリーズおなじみの新田浩介刑事と、完璧すぎて逆に不安になるコンシェルジュ・山岸尚美。この二人、性格は真逆なのに妙に息が合ってる。まるでツンデレ刑事とおもてなし女王の即席漫才コンビ。いやもう、このふたりがホテルのロビーですれ違うだけで、なぜか緊張感と笑いが同居するんです(笑)。

さて、そんなふたりが挑むのは「年越し仮面舞踏会」。仮面=顔バレ防止=容疑者が堂々と潜伏、というミステリ好きよだれ垂れまくりのシチュエーション。読者としては「全員怪しい」パラダイス状態で、登場人物ひとりひとりが「仮面の下に何を隠しているのか」と想像を巡らせるのがまた楽しいです。

そして東野圭吾さん、さすがです。ホテル業界あるある、接客の裏側、警察内部の駆け引き…こうしたディテールの描き込みが、ただの「事件解決もの」を超えています。社会派小説としての味わいも生み出しています。読んでいて「接客のプロ vs 捜査のプロ」のバトルを観戦している気分です。ときどき「いや、そこまでやる!?」とツッコミたくなる展開もあるけれど、それがまたクセになっちゃいます。

特に印象的だったのは、山岸尚美の「プロとしての矜持」です。お客様の安全とプライバシーを守りつつ、事件にも首を突っ込む(というか巻き込まれる)姿勢には、ただのヒロインという枠を超えた魅力を感じます。一方、新田刑事は相変わらずの無骨さで、事件の真相に一直線…と思いきや、ちょっとした心の揺れもあって、そのギャップがまたニクいところです。

事件そのものは多層的で、伏線の張り方も上手です。読んでいる最中は「この人が犯人か?」と疑っては「いや違うか…」と頭の中で推理バトルが繰り広げられます。読了後に思うのは、「よくぞここまで緻密に組み立てたな」と感心のひと言です。どこか一か所でもピースがズレてたら台無しになる構成なのに、最後までピシッと決まっています。

3.さいごに

総じて『マスカレード・ナイト』は、ミステリとしての完成度はもちろん、「人間関係の妙」と「職業人としての美学」が掛け合わさった一冊となります。ページをめくる手が止まらないのは、トリックの巧妙さだけでなく、キャラクターたちの内面がじわじわと染み込んでくるからかもしれません。

仮面をかぶっているのは誰か——それは犯人だけじゃありません。我々読者もまた、読みながら少しずつ仮面を脱がされていくのです。さすが深いな東野さん!

最後まで読んでいただきありがとうございます。またいろいろな本のレビューを書いていければいいなと思います。

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